小井土 善彦 2025年06月25日
三陰交は、ツボの名前。日本語読みで「さんいんこう」中国語読みでは「sān yīn jiāo
(サン イン ジャオ)」英語では「spleen 6(SP6)」。
20年ほど前に、各国でそれまで異なっていたツボの名前や位置が統一され、鍼灸では中国語
と英語が世界の公用語になりました。
日本語と韓国語は、残念ながら公用語になっていません。
さて、産科や婦人科領域で使用するツボとして有名ですが、足の太陰脾経(たいいんひけい)
に属している21箇所の中のツボの一つです。
西洋医学とは異なり、東洋医学で「脾」は、主に消化吸収を受け持っている「臓」の一つで、
「脾」が弱くなると、消化吸収能力が低下して、身体に良いものを食べても、栄養が吸収さ
れず、生命力が低下してしまいます。むくみの原因にもなります。
「脾」は、湿に弱いと考えられているので、湿気に包まれるこの時期は、消化吸収能力に少
しでも負担をかけないように、いつもより良く噛みながらゆっくり食べることをおすすめし
ます。

通勤途中。いつものように歩いていると、オレンジ色の何かを咥えたカラスが目の前を飛び立ちました。近くの建物のベランダにとまったカラスの口には、枇杷の実が咥えられていました。この中から1番美味しい実を、どのように選ぶのか?カラスに教わりたいものです。
serie89_admin 2025年06月06日
今日は、梅雨前の貴重な晴れ間でしたが、洗濯物が外に干せないほど、風が強い一日となりました。みなさんがお住いの地域はいかがでしょうか?学会を終え、お会いした先生方との連絡が一段落しました。発表に対し、学会から証明書をいただいてきました。

来年は岡山で開催されるとのこと、今から楽しみです。
小井土 善彦 2025年06月01日
横浜を出発した金曜日は、上着が必要でしたが、学会が開催された名古屋も晴れて、気持ちの良い一日でした。
活躍されている多くの先生や若手の研究者から、たくさんエネルギーをもらうことができました。来年は、岡山とのこと。今から楽しみです。
serie89_admin 2025年05月29日
明日から6月1日まで、第74回(公社)全日本鍼灸学会学術大会 名古屋大会に参加してきます。30日の午後から31日にかけ、院長不在ですが、診療は行っていますのでご利用ください。
当院は、開院当時より、学会活動を通して鍼灸の研究を進めてきました。今回も院長と副院長が、それぞれ発表します。また、院長は「well-being」、副院長は「産科領域」の座長も努めます。
今回の大会のテーマは「女性のみかたⅡ-フェムテックによる女性のWell-beingに貢献する鍼灸-」です。様々な視点で、鍼灸に関する話が聴けるので、楽しみにしています。

ご興味のある方は、https://www.taikai.jsam.jp/ をご覧ください。
小井土 善彦 2025年05月21日
5月18日は、東京都鍼灸マッサージ師会が開催した周産期の勉強会に行ってきました。演者の百枝先生は、現代医療鍼灸臨床研究会にご登壇いただいた際にお話しを伺ったことがあり、現在は院長として愛育病院に勤務されています。鍼灸にご理解がある数少ない産婦人科医で、産科学を学ぶ機会が少ない私たちにも、わかりやすいお話しでした。無痛分娩や産後ケアの現状も知ることができ、充実した1日となりました。
今日も逆子や下肢静脈瘤で困っている妊婦さんの治療に追われています。腰痛や骨盤痛など、妊娠中の不快な症状でお困りの方は、是非ご相談ください。
serie89_admin 2025年05月21日
治療室がある横浜は、このところ蒸し暑く感じる時間が増えてきました。今日は午前中から暖房モードだったエアコンを冷房に切り替え、患者さんと相談しながらオンオフを繰り返しています。厚労省の熱中症ガイドには、「暑熱順化により、早く汗が出るようになり、体温の上昇を⾷い⽌められるようになります。 暑くなる前に⾝体を熱中症対応モードにして、暑さに強い⾝体を作りましょう。」と記載されています。と言っても、少しずつ作っていくことも大切。暑い時ではなく、気温が低い日や、時間帯を利用して、汗をかく準備を始めるのがおススメです。
窓から見える大岡川の水面には、ふわふわと漂っているたくさんのクラゲが見え、海と川の水が交わるこのあたりの水温が高くなってきたことを、知らせてくれます。
夏に向け、暑さに順応できるように、今から準備をしてみてはいかがでしょうか。
せりえ鍼灸室は、妊娠中だけでなく妊活中も更年期も快適に過ごせるように、東洋医学の知恵と技術で、健康づくりのお手伝いをしています。
小井土 善彦 2025年04月30日
昨日、第59回現代医療鍼灸臨床研究会に参加しました。今回のテーマは、「疲労と鍼灸 臨床最前線」。実に興味深い内容でした
さて、日々の生活で「なんだか疲れが取れない…」と感じることはありませんか?私たちの身体は、疲労という実際のダメージと、疲労感という「疲れている」という感覚の、ふたつのサインを出していて、この2つは、似ているようで実は違うようです。
●「疲労」は体の機能が落ちている状態のこと
たとえば、長時間パソコン作業をして、肩や目が重くなるといったことがあります。これは筋肉や神経、脳などが「もう限界に近いよ」と出している生理的なサインで、これが「疲労」です。
●「疲労感」は体からのアラーム
一方で、「今日はなんだかしんどいな」「やる気が出ない」というのは、身体が出している警告信号(アラーム)のようなもの。これが「疲労感」です。このアラームは、休んだほうがいいよ!という大切なメッセージ。
でも、疲労感を感じにくい人もいます。
頑張りすぎるタイプの方や、責任感が強い方は、「しんどさ」を自覚しないまま働き続けてしまうことも…。危ないタイプ!
●鍼灸は、「疲労」と「疲労感」の両方にアプローチすることが可能です。
鍼やお灸は、こり固まった筋肉をゆるめたり、自律神経のバランスを整えたりすることで、体の疲れ(疲労)を和らげるのはもちろん、心の疲れ(疲労感)にも働きかけます。
「自分がどれくらい疲れているのか分からない」「最近なんだか不調」と感じたら、それは身体からのアラームが鳴っているサインかもしれません。
無理せず、ぜひ一度リセットしにいらしてくださいね。
小井土 善彦 2025年04月13日
今日は「汗」について考えてみます。
4月も中旬になりました。雨が降るとまだまだ寒さを感じますが、湿度が高くなることで、重ね着をしていると、汗が出そうになることがあります。出始めの汗は、ベタベタしたり、臭いが気になるようは、いゃ〜な感じがしませんか?夏に向けて、学生の頃のように、サラサラした気持ち良い汗をかきたいものです。
汗腺には、手のひらや足の裏に分布している汗腺(アポクリン汗腺)とそのほかの体表の多くに分布する汗腺(エクリン汗腺)が、一般によく知られています。
汗は、水分が蒸発するときに発生するエネルギーにより、身体を冷やしてくれる放熱システムです。気温が高いところでも、汗が出れば体温は適度に下がり、体温を調整してくれます。逆に、寒いところでは、汗を出さないことで放熱を抑制し、体温が必要以上に下がるのを防いでくれます。
私は、患者さんの皮膚の状態を良く観察します。汗もそのひとつ。私にとって汗は、汗を出す汗腺の機能が、しっかり働いているのか?いないのか?を判断するための大切な情報源です。湿度が高いところでは、水分が蒸発しにくくなるので、汗は出にくくなります。当院がある横浜も、梅雨前から湿度が高くなる地域。患者さんの汗が気になります。
また、汗を出す汗腺には、もうひとつ大切な機能があることが知られています。みなさんもご存じのように、栄養素には、糖質、脂質、タンパク質に加え、ビタミンやミネラルがあり、そのミネラル(電解質)には、ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、マグネシウムなどがあります。汗の主な成分は、水と塩化ナトリウム(塩分)です。汗腺には、水分の調整とともに過剰な塩分を体外に排泄する機能があります。その一方で、身体にとって必要なミネラルを再吸収する機能も備えています。小さな腎臓と言われるゆえんです。
ミネラルは、健康維持、体調管理には欠かせない栄養素。汗をかきにくいことは、体温の調整だけでなく、ミネラルを再吸収する汗腺の機能が低下し、疲れやすくなる要因のひとつと言われています。
汗をキーワードに体調を観察してみるのは、いかがでしょうか?
小井土 善彦 2025年04月07日
2月に「冬に春が混ざってる」と、寒暖差が大きな時期の過ごし方を提案しました。桜が散り始めるこの頃も、自身の体感に応じた対応が肝心です。

横浜の桜は、今年は長く楽しませてくれています
日差しが強く暖かい日の日中は薄着を楽しんでも、寒く感じる時は重ね着をして、夏に向けて準備を始めている身体に冷えが入り込まないように心がけましょう。
コンディショニングやリカバリー、美容にも、当院を是非ご利用ください。
次回は、この時期に大切な「汗」について、お伝えしたいと思っています。
小井土 善彦 2025年03月25日
更年期は、女性のライフステージにおける大きな転換期であり、女性ホルモンが少しずつ少なくなることにより、ホットフラッシュ、不眠、抑うつ、関節痛など多様な症状が現れます。この時期の健康管理には、単なる症状緩和にとどまらず、ウェルビーイング(well-being)の視点から、心身のバランスを整え、生活の質を向上させるアプローチが求められます。
鍼灸は、自律神経やホルモンバランスに作用し、自己治癒力を高めることを治療原則としており、更年期症状の改善に寄与することが研究で示されています。例えば、ホットフラッシュの頻度を減少させる、睡眠の質を向上させる、ストレスを軽減するなどの効果が報告されています。コクランレビューは、ホルモン療法に比べるとホットフラッシュには有効とは言えないとしており、エビデンスは限定的ですが、薬に頼らず副作用が少ないため、ナチュラルなケアを求める女性にとって魅力的な選択肢となると考えています。また、これらの効果は、単に不調を取り除くのではなく、心身ともに健やかに生きるためのウェルビーイングを支えるものといえます。
更年期ケアにおいて鍼灸は、単なる対症療法ではなく、ウェルビーイングを高める可能性があり、更年期女性のQOL向上に貢献することが期待されます。
当院では、医療機関との連携や治療効果の評価に簡略更年期指数(SMI)を活用し、更年期女性のウェルビーイングをサポートしています。

116-117ページに、当院の副院長がツボ療法を紹介しています。
40歳を過ぎ、年齢を重ねるにつれ、それまではあまり気にならなかった肩こりや腰痛が気になるようになった、何となく疲れる、ぐっすり眠れない、一晩寝ても疲れがとれない、気分が冴えずいつももやもやしている、それまでとは異なる症状が続き、自分の健康が気になるようになった方はもちろん、婦人科で処方されたホルモン療法や漢方薬を服用しているがもう少し元気に過ごしたい方も、是非ご相談ください。鍼灸は、ホルモン療法や漢方薬との併用も可能です。