老年期の心と体のケア
高齢者の疾患の特徴として、同時に多くの疾患と多くの愁訴をもち、慢性で治療が難しく、多くの薬物を長期連用する慢性・退行性病変が大部分を占めることが知られています。
一方、鍼灸治療は薬物を使用しない治療法です。しかも病態の把握において多様な症状を総合的に把握しようとします。また、鍼灸医療は、疾患そのものを見るのではなく、病人全体を見る全人的なアプローチを特徴としています。
鍼灸治療は腰痛や膝痛などの慢性疼痛ならびに全身的な身体的愁訴の軽減をはじめ、精神的愁訴の軽減にも効果的であり、心身を健やかな状態に導く効果が期待されており、高齢者にとって非常に適切な治療といえます。
参考文献:高齢者ケアのための鍼灸医療 丹澤章八編 医道の日本社 1995年