女性の更年期症状と鍼灸治療
小井土 善彦 2025年03月25日
更年期は、女性のライフステージにおける大きな転換期であり、女性ホルモンが少しずつ少なくなることにより、ホットフラッシュ、不眠、抑うつ、関節痛など多様な症状が現れます。この時期の健康管理には、単なる症状緩和にとどまらず、ウェルビーイング(well-being)の視点から、心身のバランスを整え、生活の質を向上させるアプローチが求められます。
鍼灸は、自律神経やホルモンバランスに作用し、自己治癒力を高めることを治療原則としており、更年期症状の改善に寄与することが研究で示されています。例えば、ホットフラッシュの頻度を減少させる、睡眠の質を向上させる、ストレスを軽減するなどの効果が報告されています。コクランレビューは、ホルモン療法に比べるとホットフラッシュには有効とは言えないとしており、エビデンスは限定的ですが、薬に頼らず副作用が少ないため、ナチュラルなケアを求める女性にとって魅力的な選択肢となると考えています。また、これらの効果は、単に不調を取り除くのではなく、心身ともに健やかに生きるためのウェルビーイングを支えるものといえます。
更年期ケアにおいて鍼灸は、単なる対症療法ではなく、ウェルビーイングを高める可能性があり、更年期女性のQOL向上に貢献することが期待されます。
当院では、医療機関との連携や治療効果の評価に簡略更年期指数(SMI)を活用し、更年期女性のウェルビーイングをサポートしています。
116-117ページに、当院の副院長がツボ療法を紹介しています。
40歳を過ぎ、年齢を重ねるにつれ、それまではあまり気にならなかった肩こりや腰痛が気になるようになった、何となく疲れる、ぐっすり眠れない、一晩寝ても疲れがとれない、気分が冴えずいつももやもやしている、それまでとは異なる症状が続き、自分の健康が気になるようになった方はもちろん、婦人科で処方されたホルモン療法や漢方薬を服用しているがもう少し元気に過ごしたい方も、是非ご相談ください。鍼灸は、ホルモン療法や漢方薬との併用も可能です。