小井土院長ブログ

めだかと汗と

小井土 善彦 2020年04月09日

おはようございます。せりえ鍼灸室の小井土善彦です。

自宅のベランダに、四角い発泡スチロールの箱を置いています。冬の間、水草でふさがれていて、中の様子は見えません。

ところが、水温が高くなるこのころになると、たくさんのメダカが水面に上がってきます。メダカの姿を見るたびに、生きていたんだ~!今年の冬もがんばったね~!と嬉しくなります。

新型コロナウィルスが終息し、一日でも早く、そんな感じで再会できることを願っています。

まずは、この非常事態宣言を乗り越えること。その間に、できることを考えます。

今日は「汗」について考えました。

汗腺には、手のひらや足の裏に分布している汗腺(アポクリン汗腺)とそのほかの体表の多くに分布する汗腺(エクリン汗腺)が、一般によく知られています。

汗は、水分が蒸発するときに発生するエネルギーにより、身体を冷やしてくれる放熱システムです。気温が高いところでも、汗が出れば体温は適度に下がり、体温を調整してくれます。逆に、寒いところでは、汗を出さないことで放熱を抑制し、体温が必要以上に下がるのを防いでくれます。

私は、患者さんの皮膚の状態を良く観察します。汗もそのひとつ。私にとって汗は、汗を出す汗腺の機能が、しっかり働いているのか?いないのか?を判断するための大切な情報源です。湿度が高いところでは、水分が蒸発しにくくなるので、汗は出にくくなります。当院がある横浜も、梅雨前から湿度が高くなる地域。患者さんの汗が気になります。

また、汗を出す汗腺には、もうひとつ大切な機能があることが知られています。みなさんもご存じのように、栄養素には、糖質、脂質、タンパク質に加え、ビタミンやミネラルがあり、そのミネラル(電解質)には、ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、マグネシウムなどがあります。汗の主な成分は、水と塩化ナトリウム(塩分)です。汗腺には、水分の調整とともに過剰な塩分を体外に排泄する機能があります。その一方で、身体にとって必要なミネラルを再吸収する機能も備えています。小さな腎臓と言われるゆえんです。

ミネラルは、健康維持、体調管理には欠かせない栄養素。汗をかきにくいことは、体温の調整だけでなく、ミネラルを再吸収する汗腺の機能が低下し、疲れやすくなる要因のひとつと言われています。

地球規模で気温が高くなりつつある近年は、熱中症による死亡例が多くなり、水分の補給に関心が集まっています。熱中症を避けるためには、水分の補給に加え、エアコンによる室温の調整が重要です。

その一方で、医学的な理由がないのに、必要以上にエアコンを使う生活を続けていると、汗腺による体温調整機能が低下することが危惧されています。

そんな大切な汗ですが、

メダカが顔を見せる3月くらいから、汗を出す準備が始まると、私は考えています。

秋から冬バージョンに向け、夏が終わる前から、身体は準備を始め、春から夏バージョンに向けた準備は、暖かくなる3月ころから始まると考えています。夏に体調を維持できるように、昨年の夏の様子をお尋ねし、5月の連休が終わるころまでに、汗をかけるようにしていきましょうと、患者さんにお伝えしています。

今は4月。幸運にも、非常事態宣言。自分の健康を見直すチャンス。

栄養や休養とともに、散歩や大掃除など適度な運動で身体を積極的に動かしてみましょう。また、今日の横浜のように、お天気が良いときは、窓を開け、風を通し、日に当たり・・・。皮膚への適度な刺激は、自律神経の働きを促進します。

それから、昼間の入浴もおススメです。ちょっとした贅沢を楽しむのは、気分転換にもなります。医学的に問題がなければ、温度も深さも時間も、その時に気持ち良いと感じる程度が良いと考えています。快不快や好き嫌いを感じることは、健康や身を守る大切な能力の一つ。

社会に適応するために、感じないようにしてきた快不快や好き嫌いですが、人を生物としてみると、とても大切な感覚に思えてきます。

体調が悪くても微熱が出ても、栄養ドリンクや薬を使って、症状がないことにしてきた生活を、この先も続けていくことが可能なのか?持続可能な社会とは?

汗に注目しながら、考えてみる機会にしてみてはいかがでしょうか?

 

 

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プロフィール

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せりえ鍼灸室院長
小井土 善彦
現代はストレス社会と言われていますが、その「ストレス」という言葉の由来は、1936 年頃、カナダの生理学者ハンス・セリエ氏(Hans Selye)が発表した「ストレス学説」にあります。 セリエ氏は一定の「ストレス」を感じると、体に一連の症状が現れることを発見しました。...

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辻内敬子

せりえ鍼灸室副院長
辻内 敬子
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